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分子生物学用語だらけの桃太郎

昔々あるところで、おじいさんとおばあさんがクローニングしていました。

おじいさんが山にライゲーションに、おばあさんが川にPCRに行くと、川上から「アンプリファ〜イ アンプリファ〜イ」と大きな桃が流れてきました。

「こんな突然変異の桃は見たことがない。家に持ち帰ってゲノムを読んでみたい」

おばあさんが桃を家に持ち帰り、ミニプレップすると、中から純度の高い赤ん坊が精製されました。

「この子の名前はpMomotaroにしましょう」

37℃でインキュベートすると桃太郎はすくすくと育ったので、グリセロールストックを作りました。

ある日桃太郎は言いました。

「ここまで僕をカルチャーしてくれてありがとう。鬼ヶ島をコンタミネーションさせて論文サブミットを阻止します」

 

桃太郎が、武器の活性を失わないよう温度に気を遣いながら鬼ヶ島に向かっている途中、E. coli大腸菌)のコロニーをピックしました。

「お腰につけたプラスミドベクター、どうか私をトランスフォーメーションしてください」

E. coliがそう言うので、桃太郎がトランスフォーメーションしてやると、E. coliは桃太郎の仲間になるプロテインを発現し始めました。

 

続いて、桃太郎が2%アガロースゲルを泳動していると、S. cerevisiae酵母)に出会いました。

「お腰につけたプラスミドベクター、どうか私でツーハイブリッドしてください」

S. cerevisiaeがそう言うので、桃太郎がツーハイブリッドスクリーニングをすると、S. cerevisiaeと桃太郎は相互作用することがわかりました。

 

さらに桃太郎が6,000rpm, 4℃, 30min遠心していると、M. musculus(マウス)がバランサーでした。

「お腰につけたプラスミドベクター、ウィルスでパッケージングして、どうか私に感染させてください」

M. musculusがそう言うので、桃太郎がトランスジェニックマウスを作製すると、M. musculus鬼耐性を獲得しました。

 

鬼ヶ島まであと少しというところまで来た時、桃太郎は退治プロトコルが細かく記載された実戦ノートを開いて言いました。

「効率よく進めるため、鬼ヶ島の大本営であるダイジェスチョンサイトを確実に狙おう。鬼が寝静まる夜間に襲撃する。O/Nの戦いになるぞ」

4人は夜になるまで近くのクリーンベンチで待機しました。

「覚悟はいいか。心してかかれよ。鬼は強いぞ。なんてたって、その名もDrosophila melanogasterだ」

桃太郎が言うと、3人はゴクリと唾を飲み込みました。

「ドロソフィラ・メラノガスター・・・なんて強そうなんだ・・・」

 

夜、4人はいよいよ鬼ヶ島に降り立ちました。鬼たちは寝ているのか、電気は全て消えて真っ暗でした。

「桃太郎さん、これでは暗くて、みなさんがどこにいるのかもわかりません」

E. coliが言いました。

「この時のために、さっきみんなにあげたプラスミドベクターGFPを入れておいたんだ」

桃太郎がそう言うと、他の3人は驚きの声をあげました。

S. cerevisiae「あれ!身体が!」

M. musuculus「緑色に!」

3人「光ってるぅ〜!?」

E. coli「これなら、みなさんのことがよくわかります!」

桃太郎は会心の笑顔で応えるのでした。

しかし今度はS.cerevisiaeが不安そうな声をあげます。

「でも、ダイジェスチョンサイトまでの道はどうやってわかるのでしょう?」

桃太郎は動じず、ゆっくりと大きな動作で両手を振りかぶると、勢い良く振り下ろしながら叫びました。

「ローーーーーディング・バッファーーーーーー!!!!!!」

するとどうでしょう。一本の道が青く照らされたではありませんか。

「この道に沿っていけばいい」

桃太郎は自信に満ちた表情で告げるのでした。

 

ダイジェスチョンサイトに着くと、4人は矢継ぎ早に攻撃を開始しました。

E. coli「BamHI(バム エイチ ワン)!」

大きな爆発音と共に、火が燃え上がります。

S. cerevisiae「NulI(ヌル ワン)!」

ヌルっとした液状の物質が、相手の動きを封じます。

M. musculus「EcoRI(エコ アール ワン)!」

クリーンエネルギーで動く重機がその辺を破壊します。

M. musculus「まだ手ぬるいか・・・EcoRV(エコ アール ファイヴ)!」

重機が5台に増えます。

 

鬼たちが反撃しようともがく中、桃太郎が不思議な呪文を唱えました。

セントラルドグマ!!!!!」

すると空中に不思議な空間への入り口が開き、tRNAたちが鬼をその空間へと次々と運んで行きます。

すべての敵の運搬が終わると、空間ごとまとめてオートクレーブにかけたのでした。

 

こうして研究の新規性を守った桃太郎たちは、インパクトファクターの高い論文誌に論文が掲載されたとさ。

めでたしめでたし。

 

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本エントリーは下記の元ネタを参考に書かせて頂きました。

 

「IT用語だらけの桃太郎」

bulk.co.jp

 

サイバーエージェント用語だらけの桃太郎」

ameblo.jp

 

※学名をイタリックに修正しました。