これまでの職の話をしよう season2 ーシステムエンジニアー

システムエンジニアと一口に言っても、人によって想像する仕事内容は違うと思う。

どんなことやってるのか全く想像できない、と言う人も多いだろう。

それくらい日常生活で目に触れない裏方的仕事だが、システムエンジニアと呼ばれる人が作ったものには一日の3/4くらいは触れているんじゃないかというくらい身近だったりする。

簡単に言うと、コンピュータ的な仕組みが中で動いているんだろうなー、と思われるツールやインターネットサイトの中身を作っている人たちである。

例を挙げると、駅の自動改札の中で、右手で切符を受け取り高速で穴を開けて左手で返す作業をしたり、乗り越しの有無を一瞬で判断して扉をしめたりしている人だ。

 

以降は無理やりAKB48に例えて話をしてみる。

 

ココに、世の中をエンターテインするという機能を持つAKB48というシステムがあるとする。

 

AKB48を作る基本メンバー

AKB48のメンバー構成とか、メンバーの立ち位置(センターが誰か)とか、基本的なことを決める人 = インフラエンジニア

AKB48が披露する楽曲やダンスなどのコンテンツを作る人 = アプリケーションエンジニア

 

・私がやってた仕事

新たな美少女が現れたときに、AKB48に入れられるか、どういう個性を武器にするのがよいか、を研究して、上記のインフラエンジニアに情報を与える人 = 研究開発(の一部)

 

全部秋元康じゃん、という想いは便宜上飲み込んでいただきたい。

 

ただ、私は、せっかく調査した美少女たちのデータを消したり、美少女を研究するために用意したステージ(環境)をついうっかり壊したりしてしまうミスを数回やらかしていた。

これは、現在のAKB48のお客様に直接影響を及ぼすものではないので、対外的な問題にはならないが、自分の仕事の進捗という観点でかなりガビーンということになる。

そうして先輩から頂いた不名誉な称号が、Ms.イレイサーだ。

 

何度かミスをやらかしたあとで、さすがに「消す」という行為には気をつけていたとき、「このボタンを押すと、PCの中のデータが全部消えるかも」という状況に直面した。

(現実的に言うと、個人ノートPCの調子が悪くて、OSが起動しないという事象が頻発しておりエラー画面に「OSインストールメディアを入れて修復してみろ」的な表示が出ていたので実行しようとした。

ただ、持っていたメディアは純粋なOSインストールメディアではなく会社のセキュリティラインに沿ったキッティングメディアで、OSの修復というメニューがなかった。

キッティングメディアの最初のメニュー画面の「インストール」ボタンを押してもよいかで悩んだ。もしかしたらそのボタン押したあとに修復メニューがでてくるかも、と思った。)

 

ここで、まるで漫画のようにわかりやすく自分の中で2人の自分が争い始めた。

 

天使ザッカーバーグ「待ちなさい、あなたはこういうことで何度も失敗しているでしょう?押すのを辞めて、まず慎重に調べるのです。」

悪魔ザッカーバーグ「でもさー、ここでボタン押さないと作業が先に進まないぜ?パソコン起動しないんじゃ、調べものも出来ないじゃん。最悪全部消えても、最低限必要なデータは別の場所にとってあるから大丈夫でしょ?押しちゃいなよ。」

天使ザッカーバーグ「やめなさい。これまであんなに深く反省してたじゃないの。それを思い出しなさい。」

悪魔ザッカーバーグ「押しちゃえ押しちゃえー」

 

天使が勝って、ボタンを押すのを辞めた。そうだ。私は何度も失敗している。もう繰り返してはいけない。

 

しかしその直後、もう一度ボタンの前に行って考えた。

天使ザッカーバーグ「だからダメだって!」

悪魔ザッカーバーグ「押しちゃえよ。なんとかなるって。」

そこで、なぜだろうか。押してしまった。

 

その瞬間「HDD初期化中」という表示がされた。つまり「すべてのデータを真っ白にしてますなう☆」ということである。

ふっと我に返り、数秒で慌てて「キャンセル」ボタンを押したが時既に遅し、それ以降、真っ白というかむしろ画面が真っ黒のまま変化することはなかった。

悪魔の闇が、天使の光を飲み込んだ。

 

こりゃ性格上の致命的な欠陥だな、と思った。

 

※ 会社の名誉のために断っておくと、お客様に影響するようなところではもちろんこんな適当な操作は許されない仕組みになっていたし、周囲は本当に優秀なエンジニアばかりでした。私が一人でアホだっただけです。